間違いやすいなぜなぜ分析

なぜなぜ分析は原因追及のツールとしては優秀なのですが、使い方を間違うとしばしば当事者個人の責任にして思考停止に陥ってしまいます。一度、要点をまとめてみます。

~なぜなぜ分析の間違いやすいポイント~

  1. なぜなぜ分析は自己分析にはあまり向かない
    これは皆さん肌感覚でわかりますね。原因「私が間違えた」→真因「私がうっかりしていたから」となってしまうのは、なぜなぜ分析としては失敗です。対策が具体的でない=効果の検証ができないからです。
    なぜなぜ分析は、よくわかった人と複数人でやりましょう。
  2. 最初の事象の特定が重要
    事象は「出来事」ではなく「状況」です。原因・真因も「状況」をベースに考えていく方が失敗しにくいです。
    ×備品の発注を間違えた(出来事)
    ○誤発注の結果クリップが20箱届いた(状況)
  3. 事象の原因となる事実はひとつとは限らない
    現場どころかnoteやちょっとしたビジネス書でも間違えている人多いですが、これ一対一ではありませんよ!たったひとつの事実が原因で事象が起きるほどシンプルならなぜなぜ分析は不要です。複数ある事実のうち、対策が立てられそうな原因をきちんと選び取るのが重要なんです。
  4. 真因は対策が立てられるものを採用する
    真因も、具体的な対策が立てられそうなものを選択します。これは分析ですから、必ず人の目と判断が入るものです。
  5. 対策はひとつとは限らない
    原因がひとつと限らないように、対策もひとつとは限りません。複数挙げて、採否をみんなで話し合う方が良い場合が多いです。

なぜなぜ分析の良くない例

どこが良くないのか
①そもそも設問が不適。問題は発注したことではなく、400個届いてしまったこと。
②「他の人では絶対に起こらない」わけではないので分析不足。
③うっかりしても必ず誤発注するわけではないのでこれも分析不足。
④私が今度気を付けても防げるとは限らないし、他の人が同じ間違いをするかもしれない。従って不適。

なぜなぜ分析のもっと良くない例

どこが良くないのか
⑤実は、原因の前の設問が良くない。問題は「発注した」行為ではなく「400個購入した(届いた)」こと。行為に言及すると、原因は個人に行きつく。
⑥「この原因を取り除いたら同じ事象は発生しないのか」という目線ではこれは真因ではないのだが、当事者の自己反省ではしばしばこう言うしかなくなってしまう。
⑦これで解決できるのは「私が発注した」ことだけで、職場としての困った事象としては解決できない。

正しいなぜなぜ分析の例

以下はあくまで一例です。原因-真因は1ステップで書いていますが、実際は数ステップでたどり着くことも多いです。(5ステップ以上かけても堂々巡りすることが多いので「なぜなぜ5回」です) 原因は枝分かれしていきましたが、対策はいくつかに帰結しましたね。実際にとる対策はこれらのうちから効果があるもの・できるものを選べばよいのです。