SDSで伝達する事項【安衛法】

ご質問をいただいたので、この機会にまとめておきたいと思います。

SDSで伝達する事項のうち、「安衛法で定められている事項は本当はどれか」という話です。通達※では「JIS Z7253に準拠すれば安衛法の要件も満たす(意訳)」と言っておきながら、JISでは「国内法令で定める場合はそれに従う(キリッ)」とか書いてあって、どっちやねん!てなりますよね。
※労働安全衛生法等の一部を改正する法律等の施行等(化学物質等に係る表示及び文書交付制度の改善関係)

安衛法・安衛則で定める「通知すべき事項」には濃度基準値そのものは入っていない

情報伝達すべき事項というのは、具体的には法、則(労働安全衛生規則・安衛則)、通達で定めています。
法第57条の2の第7項は「その他厚生労働省令で定めるもの」と書いてあるのですが、これが安衛則第34条の2の4という建付けです。
読み解くのやや面倒なので、以下の通り図解します。

ね。ここに濃度基準値って出てこないでしょ。

濃度基準値はSDSに書かなくていいの?もちろん、書いた方がいい。

法で伝達義務を定めてないというだけで、もちろん通達※では濃度基準値は伝達することが望ましい、と書いてあります。

SDSの第8項は「ばく露防止及び保護措置」です。せっかく欄があるので、ぜひここに書きましょう。今までも、ACGIHとか産衛学会の許容濃度とか書いてくださっていた箇所です。濃度基準値は(ちょいちょい追加が多いのが悩ましいですが)職場のあんぜんサイトとかでも無料で調べられますから。

なぜ濃度基準値は伝達義務になっていないのか

これは、法律の建付けの問題です。

濃度基準値については通知対象物質から選定され、労働者のばく露防止を行うのは化学物質を使用する事業場の「化学物質管理者」「保護具着用責任者」です。
化学物質の供給者は直接の義務ではないこと、それから通知対象物質が伝達されていれば使用者側で調べられることから、供給者の義務としては通知対象物質の伝達で十分としたということと理解することができます。

まとめ みんなでわかりやすいSDSを普及しましょう

法的な義務がなくても、もし労働災害や環境被害等の事故があった際には当然に情報伝達がされていたかは問われます。
その時に「業務上の責任を果たさなかった」のか「注意・配慮が足りなかったために起きたのか(業務上過失と言います)」のかという論点は変わりますが、もともとSDSは安全な取り扱いを通じて事故を防止することです。

JIS規格に沿うことでわかりやすいSDSを作ることができます。わかりやすいSDSで、化学物質による労働災害や事故を防止しましょう。